雪崩に関する医学

雪崩の死因と生存率(1) 〜生存曲線について


雪崩生存曲線2001

解説:本グラフは、2001年に発表されました。オリジナルは1994年Natureに発表されたデータで、スイスの雪崩事故の解析です。1994年には埋没から15分の生存率の高さが注目され、アラスカのガイドラインにも採用されました。その後さらに症例が蓄積され、2001年には18分でも91%の生存率というデータが出て、欧州では雪崩埋没直後の20分が救命に特に大事である!という考え方となりました。


生存曲線4相

解説:生存曲線は、時間経過から4つの相に分けて考えます。呼び方は欧米で異なりますが、概念は共通しています。
①相:最初の相は、窒息と外傷による死亡です。
②相:口や鼻に雪や氷が詰まっていなければ、残存した空気で、生き延びています。
③相:35分を経過すると、エアポケットで生命を維持し、次第に酸素も不足、二酸化炭素は十分吐き出せず、体温も低下していきます。
④相:エアポケットの空気も限りが有り、酸素不足、二酸化炭素の蓄積、低体温が進み、生命維持が困難となります。

カナダとスイス


解説:この生存曲線は、2011年に発表されたカナダとスイスの比較です。このグラフから読み取れる点は2つです。
1. 『18分vs.10分』カナダでの生存率をスイスと比較すると、埋没直後~最初の10分で低くなり、11-20分でさらに低く、最初の35分迄で大きく生存率に差がでています。カナダ全体の最初の10分の生存率は77%です。早期に急激に低下しています。スイスvs.カナダ=18分vs.10分 の違いがあります。
2. カナダ全体の最初の10分ので生存率は77%ですが、窒息死のみの生存率は86%です。この最初の10分の生存率を下げているのは、外傷です。


カナダの気候とスイス

解説:生存曲線を、カナダの3つ気候別・スイス、の4つを比較したものです。
カナダでは、海岸に近い地帯、内陸部との中間では、内陸部に比べて、埋没直後~20分前後までに、急激に生存率が低下しています。また最初の60分は、気候別に生存率に違いがありますが、最終的な生存率には差がでなくなります。生存曲線の4相からなる構成はいづれも共通していますが、地域より、雪の状態・外傷の割合が異なり、生存曲線に違いがでることがわかりました。

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