アラスカ州寒冷障害へのガイドライン2003(2005改訂)

(5) 低体温症 -4.現場に最初に駆けつける医学的訓練を受けた人

A: 患者評価
  1. 軽症低体温症:冷たく、次の兆候を有する患者を軽症低体温症とみなす
    • 意識清明
    • 生命兆候の低下なし
    • 活発な震え
  2. 中等症または重症低体温症--体温32℃以下に相当。冷たく、次のいずれかの兆候あるいは症状を有する患者は中等症から重症低体温症とみなす
    • 徐脈や呼吸数の低下といった生命兆候の低下
    • 意識レベルの変化 (発語不良、つまづき、知的技能の減弱、言葉や疼痛刺激への反応低下を含む)
    • 非常に寒いが震えが消失 (注:この兆候は酩酊状態では変化し信頼性が無いかもしれない)
B: 低体温症の基本治療
  1. さらなる熱喪失を防ぐ
    • 地面からの保温、遮断
    • 風をよける、濡れた衣服を脱がす(シェルター内で)
      • 頭首を含めた着衣
      • 湿気からの隔離(大きなゴミ袋など)
      • 温かい環境への移動
  2. 救助要請
  3. タバコ・酒禁止
  4. 酸素(可能なら42℃, 加湿)
  5. 外傷処置:骨折には副木, neutral 体位, 凍傷への外傷を避ける
C: 軽症低体温症への治療
  1. B治療
  2. もし医療施設に到着できない、あるいは医療設備への到着まで30分以上要する場合、以下の方法を1つ以上用いて復温をしなさい。
    • 活発な震えは熱産生に最も重要な手段である。糖分を含む飲物でカロリーを補給し、震えを促進する(糖分を含む事は温かい飲料より重要)
    • 吸い込むことができ、気道を誤飲から守れるないなら、飲水禁止
    • 高熱源で加温(首、腋窩、鼠径、胸壁)
    • 寝袋(正常体温者と同じ寝袋に入るのは可、他の低体温症者と入るのは禁止) この方法は活発な震えのある人の核心温の上昇を速めないかもしれないが、震えの無い人をゆっくり復温するだろう。
    • もし意識清明で動けるなら、温かいシャワーやお風呂も考慮
    • 軽い運動(歩行、何かを軽く昇降等)は熱を産生し有益である。但し患者自身の体が乾き、カロリー補給し、少なくとも30分安定してから。
D. 生命兆候のある中等〜重症低体温症
  1. 丁寧に扱う(四肢をいじったりこすらない, 衣服は切って脱がす)
  2. 核心温を測定(測定訓練を受け、正当と認められる温度)
  3. 下記除外項目が無ければB(基本治療)C(軽症治療)を継続
    • 加温できるまで座らせない立たせない(hot showerやbath禁止)
    • 飲食禁止
    • 運動や歩行による熱産生禁止
  4. 定期的に身体所見を再評価x
  5. 迅速に医療施設へ搬送
E. 生命兆候の無い重症低体温症
  1. B治療
  2. 呼吸と、脈を60秒確認。もし患者の呼吸も脈も無いなら、3分間人工呼吸する。再度呼吸と、脈を60秒確認。もし患者がまだ呼吸も循環もなく、Appendix C にある禁忌項目がなければ、3時間以内に専門施設に搬送できない場合のみ、胸骨圧迫を開始する(総論Q参照)。
  3. 人工呼吸には、口対口人工呼吸あるいは酸素と供にバッグバルブマスクを用いる。低二酸化炭素血症は冷たくなった心臓の心室細動閾値を低下させうるので、過換気にならないよう注意する。
    • バッグバルブマスクで低体温症者の人工呼吸をする時は1分間に6呼吸(通常の1/2)
    • 口対口で低体温症者の人工呼吸をする時は1分間に12呼吸
  4. 救助者がAED使用の権限があり、ショックが必要であれば、3回1セットで除細動を施行すべきである。もし患者の核心温がわからないあるいは30℃以下であれば、患者の核心温が30℃以上に達するまでは最初の3回のショック後はAEDの使用を中止する。
  5. もし心肺蘇生が30分以上復温手段とともになされ、自己心拍も自発呼吸も再開されないなら、拠点の医師に忠告を求めるために連絡をする。もしこの連絡がとれないなら、救急医療技術者(EMT)は、アラスカ州18.08.089と地域の実施要項に従い(総論Q参照)、蘇生を60分で終了する事を考慮しうる。

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