アラスカ州寒冷障害へのガイドライン2003(2005改訂)

(11) 凍傷-2.総論

【一般的ポイント】

A. 凍傷を負った患者では、低体温症や他の生命を脅かす状態が存在しうるので、凍傷患者は直ちに評価し、治療を行わなければならない。

B. 極寒の温度下で患者を処置する時には、まずは低体温症を防ぐ事に大きな注意を払いなさい。そして組織が凍り始める事から保護し、すでに凍結している組織がさらに悪化することから守りなさい。

C. もし凍傷部位の加温を野外で行わないと決断したなら、搬送中、凍傷部位へのさらなる外傷や、温度の変化から、保護すべきである。

D. 浅い凍傷では、暴露を受けた部分の表皮と浅い皮下組織に影響を受けている。部分的に白色や灰色を呈する事でわかる。影響を受けた皮膚は、他より皮膚は硬く感じるが、押しても凹まないような堅さではない。皮膚は最初、赤くなり、ひとたび凍結すると痛みがない。迅速に復温して治療すれば、深部組織を失うような障害にはならないであろう。

E. 深い凍傷は表皮、皮下組織に影響し、さらに指全体や体の部分全体を巻き込みうる。深い凍結組織では、脈は触知できず、皮膚は圧迫しても跳ね返ってこない。

F. 凍傷部位にできた大きな水疱は、深い凍傷が、部分的あるいは完全に解凍された事を示す。

G. 深い凍傷の治療は痛みを伴いうるので、医療機関で治療が行われるのが最善である。野外で凍結組織の復温を選択する前に、可能なら、無線や電話で野外での凍傷治療の知識を有する医師にアドバイスを求めるべきである。
搬送時間が短い(1-2時間)場合、不適切な解凍や再凍結は、治療が1-2時間遅れるより、リスクは重くなる。
搬送時間が長引く(1-2時間以上)場合、凍傷はしばしば自然に解凍することがある。温かいお湯で迅速に凍傷を暖める事より、低体温症を予防する事の方がより重要である。これは、凍結した四肢を、自然な解凍を妨げるような寒冷の中に放置してよい、ということではない。凍傷部位は患者自身を温めることで結果として温まり、その努力の結果、再凍結から守る、と予想される。

H. 解凍後、再凍結した組織は、必ずといっていいほど死んでしまう。つまり、野外で凍傷部位を解凍する決定をしたなら、治療を行う者は、解凍のみならず、疼痛の管理、温かいお湯の温度維持、解凍中や搬送中の組織のさらなる外傷からの保護、これら治療過程全てを、委ねられていることになる。ひとたび四肢を野外で加温したら、歩かせるべきではない。

I. 殆どの例で、患者は状況が許す限り迅速に搬送されるべきである。凍傷が軽症で他の外傷が無い場合、医療施設への搬送以外に患者を治療する手段が有れば、搬送しないことは妥当かもしれない。搬送するしないの選択は、凍傷治療の知識を有する医師に相談の上でのみ、なされるべきである。搬送しないでその場で処置をするという判断をするならば、その病院前の処置を提供する人によって、その決定について、書面で注意深く書き残すべきである。

J. 注意事項
 1. 凍結部位をこすらない
 2. 患者にアルコールとお酒を許可しない
 3. 氷や雪をあてない
 4. 冷たい水で凍結部位の解凍を試みない
 5. 凍結部位を、高い温度(ストーブ、排気ガスなど)で解凍を試みない
 6. 形成される水疱を壊さない

K. 凍傷組織は、加温中、加温後、非常に丁寧に扱う

L. 凍傷患者をヘリコプターで移動させる時、ローターヲッシュによる風冷でさらに寒冷に暴露することから保護する。ヘリコプターから乗り降りの際にエンジンを止める事ができるなら、ローターヲッシュを最小限に抑える事ができる。もしこれが、航空観点から安全とは言えないなら、患者は凍傷や低体温症を悪化させないよう、さらなる熱喪失や皮膚の暴露から避けるため、注意深く覆われなければならない。

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