山岳 JOY (女医) メールマガジン・バックナンバー

山岳JOY(女医)メール⑥2011.12.06号【凍傷①】

2012.01.05

こんにちは。

国際山岳医の大城和恵です。
不定期ですが、山岳医療にかかわる情報発信をしていきたいと思います。
配信ご不要の方は、お手数をおかけ致しますが、本アドレスまでご連絡下さいませ。
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今日は凍傷の話です。

    アラスカガイドライン2005改訂版【凍傷】の和訳をHPにアップしました。
    http://www.sangakui.jp/information/update/2005.html
    WMS新ガイドラインはアラスカガイドラインをふまえていますので、2つのガイドラインをまとめて、現場での凍傷治療について、数回に分けてお届けします。
   
    当然、よく知っている点もあると思いますが、再確認して下さい。
    現場では文字通りにはいきませんが、基本を理解して、現場に応じた対応をして下さい!

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『凍傷になって、指の感覚がない、硬くなってしまった! さてどうするか?』
   
   一口に硬いといっても、どの程度重症かは、解凍してみるまでわかりません。
   解凍する迄わからないのですがから、適切な対応で、救趾を目指しましょう!
      注:救趾(きゅうし)=切断を免れる、切断範囲を小さくする


現場治療のポイント

【1】凍傷部位に、怪我や傷を負わない様にする。ガーゼ保護、ぶつけないなど。

【2】低体温症が潜在するので、低体温症の確認と処置を優先する。

【3】水分をよく摂る。

【4】薬--炎症を抑える目的で早期から内服する。イブプロフェン!

【5】凍った指をいつ解凍するのか判断をする。
(山の中でお湯につけて一気に解かす(急速解凍)か、保温で自然経過での解凍に期待するか、下山して解凍するか)

解凍ー総論

   〈解凍の分け方〉
    所要時間による分け方  急速解凍(お湯に浸して一気に解凍する)
                自然解凍(ゆっくり時間がかかる)
    場所による分け方    現場での解凍
                病院での解凍

KEY POINTs

 ☆ 凍結後48時間以内に解凍しないと切断に至り易い。by IKAR(国際山岳救助協議会) 
 ☆ 病院で急速解凍する。現場での解凍はできるだけ回避する。

    理由:以下が重要!切断のリスクを下げる。

       再凍結を避ける
       解凍した手足は使わない
       解凍した手足を傷つけてはならない
       解凍後24時間以内の病院治療で、切断を免れる率があがる

 ☆ 病院迄2時間以内に搬送できる場合は、病院で解凍する。その間、全身・患部の保温は継続する

     Q:病院まで保温しない方がいいのでは?
     A:保温します。ー 今以上に、深く広い凍傷にしないようにする。
              ー 程度により自然解凍することもありうるが、それは認容する。
 ☆《急速解凍》の責務=《解凍+解凍後の処置+救助(下山/退避)+医療機関搬送》

     解かすだけが、急送解凍の任務ではありません。
     病院搬送まで完結することが解凍を行う責任となります。
     これを理解して、現場で急速解凍を行うか判断します。

☆ 急速解凍ができない場合、保温、凍傷部位付近の体温により、ゆっくり解凍されることがある。
  これは急速解凍できない場合は容認する。

☆ 急速解凍は、自然解凍(ゆっくり時間がかかった解凍)より、救趾結果がよい。


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今日はここまでです。
 急速解凍がよい
 病院でできるとよい

ということですね。
現場では、それができない場合のデメリットを理解して、状況に応じた選択をする、ことになりそうです。

次回は、現場で解凍する場合、しない場合、解凍の具体的方法、解凍後の処置、についてです。

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お気づきの点、ご質問、ご要望等ございましたら、本アドレス迄お寄せ下さい。

医学博士 大城 和恵
UIAA/IKAR/ISMM認定英国国際山岳医(UK Diploma in Mountain Medicine)
Leicester大学山岳医療修士
北海道警察山岳遭難救助アドバイザー医師   
日本登山医学会評議委員
日本登山医学会認定山岳医判定委員
日本登山医学会認定山岳医委員会実行委員・講師
日本登山医学会山岳ファーストエイド委員長

sangakuinfo@sangakui.jp
http://www.sangakui.jp/