山岳 JOY (女医) メールマガジン・バックナンバー

【山岳 JOY(女医) メール12 】低体温症ラッピング② 2012.6.12

2012.08.07

こんにちは。

国際山岳医の大城和恵です。
不定期ですが、山岳医療にかかわる情報発信をしていきたいと思います。
講演会などで御縁をいただき、今回から配信させて頂いてる方もいらっしゃいます。
配信ご不要の方は、お手数をおかけ致しますが、本アドレスまでご連絡下さいませ。

✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘sangakui ✘✘✘✘✘✘

〜低体温症ラッピングの知識〜 

   前回に続き、低体温症ラッピングのお話です。

【ラッピング:前回のまとめ】

 湿気や水分からの隔離熱源は必須密閉性が大事、という点がポイントでした。

ラッピングまとめ

まとめ


本日はここから〜

【胸にプラティパスを置くのは体表加温では?】
  前回、熱源を加えないと、効果が乏しい、というお話をしました。
  
  体表加温の是非は、まだ海外でも議論の余地がありますが、
  胸や腹などの体幹は、血流も豊富で、効果的と考えられています。
  さらに、より接触面積を増やすことも効果的です。

  『四肢(腕、足)を温めることはよくない』とされています。
  
  『胸・腹に、接触面積を大きくとって、熱源を加える』


【火傷やけどを起こすので、プラティパス内のお湯の温度を下げた方がいいのか?】

  その必要はありません。かなり熱いお湯を入れています。
  衣類の上に置きますので大丈夫です。
  それでも熱いようなら、さらにタオルなどにくるんで下さい。
  体温と変わらない温度から始めると、どんどん温度が低下してしまい、効果が持続できません。

  実際に救助活動にあたっている北海道警察さんは、
  搬送中に隊員1名が先行し、お湯を沸かし熱いプラティパスを作り直すそうです。

  ☞最近のコメント ナルゲン(ボトルでなく)のCANTENE、破損に強くオススメ!とのご意見あり。


【密閉性をあげるには?】

風や水が浸入しない、中の温度が逃げないためには、密封性が大事です。

ロールアップ 

  写真のように、しっかりローッルアップ、巻き上げます。
  一度、顔も閉じてしまい、その後、顔だけ出しています。


【持っている装備でできる?】

 《ツエルト》
  そうですよね。
  ブルーシートを持って、山に登りません。
  となると、ツエルトになりますが、
  ツエルトは、耐久性の面では保証できません。
  しかし、防水、防風の役に、大いにたちます。
  注意することは、搬送用のツエルトと、防水・防風のためのラッピングを兼ねない、ということです。

  ツエルトで搬送しようとすると、すぐに、はだけてラッピングが崩れ、一気に温度が逃げて行きます。
  ツエルトは2枚使用することを薦めます。

  《アルミシート》
  ビバークシートとも呼ばれていますが、このシート、保温性がいいです。
  実際に、ラッピングをいろいろなもので実験したのですが、ツエルトとアルミシートで
  しっかり密閉し、熱源を加えると、かなり保温性がよかったです。

  《熱源》
  プラティパス、ナルゲン、使い捨てカイロなど・・
  お湯があれば、やはりプラティパスで接触面積を広くして、胸に置くのが一番いいです。
  ない場合は、持ってるもので考えるしかないですね。

  つまり、あるものも、使い方で、かなり有用です。

  しかし、本当に自分たちで搬送する必要があるのか、
  その場で十分な保温加温をして、救助を待つ方が良いのか、判断が必要です。


【参考】低体温症の重症度と処置の表をアップしています。ホームページをご覧下さい。こちら。
    
     バックナンバーもご覧下さい。こちら。
    


✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘ sangakui ✘✘✘✘✘✘✘✘

お気づきの点、ご質問、ご要望等ございましたら、本アドレス迄お寄せ下さい。

医学博士 大城 和恵
UIAA/IKAR/ISMM認定英国国際山岳医(UK Diploma in Mountain Medicine)
北海道警察山岳遭難救助アドバイザー医師   
日本登山医学会評議委員
日本登山医学会認定山岳医判定委員
日本登山医学会認定山岳医委員会実行委員・講師
日本登山医学会First Aid in Mountain Rescue 委員長

sangakuinfo@sangakui.jp
http://www.sangakui.jp/