山岳 JOY (女医) メールマガジン・バックナンバー

山岳 JOY(女医) メールマガジン③2011.9.06号

2011.09.06

こんにちは。

国際山岳医の大城和恵です。
メールマガジン配信を開始致しました。
研究会・講習会などでお会いし、連絡先をいただいた方に、配信させて頂いております。
不定期ですが、山岳医療にかかわる情報発信をしていきたいと思います。
配信ご不要の方は、お手数をおかけ致しますが、本アドレスまでご連絡下さいませ。


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日本テレビ24時間テレビのキリマンジャロ登山より無事に戻りました。
アタックチームは14人、直接支えて下さった方はおよそ230人近く。
私は、登山のサポートを医療面からお手伝いさせていただきました。
素晴らしいマネージメントとスタッフのおかげで、アタックチーム全員が無事に登頂、全ての人が無事に下山と帰国を終えました。
皆様、ご声援、誠にありがとう御座いました。

高所登山に関して、医療的な側面では、
脱水予防、高山病(JOYメール2)、むくみ、高度障害、寒さ、呼吸について、私が個人的感じたり工夫した事をご紹介させていただきます。
HPにアップしましたので、どうぞこちらをご覧下さい。
http://www.sangakui.jp/information/post_22.html


ではここで、実際に遭遇した症例について、皆さんで考えてみたいと思います。

【20代男性、4700m、嘔気の症例】
今回、4700mの山小屋で嘔気を訴え、食欲の低下している20代男性がいました。
SpO2は60台後半〜70台前半で、脈拍は100台/分でした。
頭痛無し、むくみは軽度、倦怠感は無し〜軽度、睡眠は4時間程度とったそうです。
下痢なし。尿量はいつもより少ない。

さて、どうしますか?

高山病?
ダイアモックス?
吐き気止め?
酸素?

私のとった対応は




私は、この方に、生理食塩水の点滴を1000ml/3時間で行いました。
高山病や胃腸の病気でなく、脱水であろうと考えました。
そう考えた理由は、他の高山病の症状が乏しいこと(特に頭痛が無い)、山行中の飲水・摂食量が少なめである事、尿量の減少でした。
水分が不足すると、酸素を運ぶ血液が充分に流れず、循環が低下します。
消化するためにも、胃腸は血液と酸素が必要です。
嘔気は、胃腸の不調以外、血液のバランスの悪さや循環の悪さでも生じる症状です。

この方は、水分が700mlほど入った所で、水を得た魚、のように元気になり、点滴しながら食事を始めました(笑)。
水分不足に加え、カロリーも不足していて、体は欲していたのだと思われます。
SpO2も70代半ば〜後半となりました。

点滴がない場合、少量ずつ水分をとりましょう。
しかし、頑張っても水分の摂れない人が多いです。真水より、OS-1などが飲み易く、吸収もよく、回復を助けます。
OS-1がなければ、1ℓの水に塩小さじ1、砂糖小さじ4を加えます。さらに果実の絞り汁を加えると、カリウム補給に良いです。
口からの摂取は、点滴と比べると吸収に時間がかかり、改善に時間がかかります。水分が摂れて悪化傾向が無ければ、半日は経過を見守り頑張りましょう。
改善しない、悪化する場合は、下山(高度を下げる)します。

脱水は、多くの不調のはじまりであったり、様々な症状で現れ始めます。
必ずしも典型的な口渇などではじまるわけではありません。
また脱水は、高所では、高山病の症状との判断がしにくくなります。
脱水は潜在する、と認識しましょう。
予防する、これに勝るものはありません。

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お気づきの点、ご質問、ご要望等ございましたら、本アドレス迄お寄せ下さい。


医学博士 大城 和恵
UIAA/IKAR/ISMM認定英国国際山岳医(UK Diploma in Mountain Medicine)
北海道警察山岳遭難救助アドバイザー医師   
日本登山医学会評議委員
日本登山医学会認定山岳医判定委員
日本登山医学会認定山岳医委員会実行委員・講師
日本登山医学会First Aid in Mountain Rescue 委員長

sangakuinfo@sangakui.jp
http://www.sangakui.jp/