山岳 JOY (女医) メールマガジン・バックナンバー

【山岳 JOY(女医)メール10 】低体温症ラッピング ① 2012.3.22号

2012.05.07

こんにちは。

国際山岳医の大城和恵です。
不定期ですが、山岳医療にかかわる情報発信をしていきたいと思います。
講演会などで御縁をいただき、今回から配信させて頂いてる方もいらっしゃいます。
配信ご不要の方は、お手数をおかけ致しますが、本アドレスまでご連絡下さいませ。

✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘sangakui ✘✘✘✘✘✘

〜低体温症ラッピングの知識〜 

 今日は、低体温症ラッピングのお話です。
 そして、実際に、なかなか目にすることのない救助の様子を、ちょっとご覧戴きたいと思います。

【ラッピングって?】
 低体温症予防(特に外傷者)、低体温症者への対処を目的として、
 搬送中どのように傷病者をくるんで保温加温をするかの方法です。


【ラッピングの実際】
 2010年の冬より、北海道警察山岳遭難救助隊の方と、下記のようなラッピングを検討して、実際に
 用いて効果を上げています。

低体温症ラッピング


  空からの救助では、ヘリコプター内を温めておけるので、このラッピングは行っていません。
  一方地上搬送となると、時間がかかりますので、低体温症が想定される場合は、
  予めこれらの装備、担架を必ず持参しているそうです。

  「ここまでやるの?」
  と思うかもしれませんが、
  命を救う為、後遺症を減らす為に、現時点でこれが北海道警察の"標準"となっています。

【搬送】
  
搬送@札幌クラスタ
  
 このブルーシートの中に、最初の写真で示したラッピングがされています。
 基本的に積雪期は機動力の高いスキーで移動していますが、状況により、スキーは仲間が担ぎ、
 つぼ足で運んだりもしています。
 北海道の山は、標高も高くないし、そびえ立つ岩峰も多くないのですが、
 冬の大雪、日高のような山は裾野が広く、ヘリコプターの飛べない日などは、現場から搬送する
 のに半日以上かかる場合もあります。
   
室蘭岳
これは、警察、消防、遭対協との連携による救助シーンです。(写真提供:北海道警察)
  

次は、夜、雨の中を救助しているところです。
防水のために、ブルーシートは必須アイテムです。 (写真提供:北海道警察)
kumagatake-p02.jpg


【ラッピング:今日のまとめ】

ラッピングまとめ  


【でも・・・】
 Q 一般登山者は、こんなに装備を持っていない・・持ってる装備でどうしたらいいの?
 Q 胸にプラティパスをおくのは体表加温にならないの?
 Q 密閉って、窒息しないの?


など、疑問やご意見もありそうです。
この点は、また、次回ご説明させていただきたいと思います。
次回に盛り込んで欲しい疑問等ございましたら、このアドレスまでお寄せ下さい。

【はい、ではもう一度まとめますよ〜】
本日は、
湿気や水分からの隔離熱源は必須密閉性が大事、という点がポイントでした。

当たり前、と思われる方もいらっしゃるでしょう。
でも、当たり前をできないのが、山なのです・・・


【参考】低体温症の重症度と処置の表をアップしています。ホームページをご覧下さい。
    http://www.sangakui.jp/medical/cat21/post_4.html

     バックナンバーもご覧下さい。
     http://www.sangakui.jp/information/-joy/


✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘ sangakui ✘✘✘✘✘✘✘✘

お気づきの点、ご質問、ご要望等ございましたら、本アドレス迄お寄せ下さい。

医学博士 大城 和恵
UIAA/IKAR/ISMM認定英国国際山岳医(UK Diploma in Mountain Medicine)
北海道警察山岳遭難救助アドバイザー医師   
日本登山医学会評議委員
日本登山医学会認定山岳医判定委員
日本登山医学会認定山岳医委員会実行委員・講師
日本登山医学会First Aid in Mountain Rescue 委員長

sangakuinfo@sangakui.jp
http://www.sangakui.jp/